研究概要

 

 現在、日本の中山間地域では、放棄耕作地の増加、集落機能の低下や集落の消滅、生物多様性の減少、獣害の増加など、過疎・高齢化に伴う諸問題が深刻化しています。本プロジェクトでは、当問題が全国的にも進んでいる高知県、および同様の問題の兆しがみられる東南アジアを対象にして、問題解決を目指した実践型研究をおこなっています。具体的には、日本においては焼畑栽培、ブルーベリー栽培、間伐材製材など中山間地域の環境条件を生かした農林産物の開発・生産とそれらの流通・普及、また、豊かな水を利用した小水力発電など自然資源を活用した低コストな暮らし作りを試みています。国、県、市町村や集落と連携をとりつつ、教員と学生が現場で考え、活動しています。東南アジアにおいては、マレーシアを拠点にし、人口減少・高齢化の現状やそれによる村落共同体への影響について研究しています。

 

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同じ圃場でも生育状況に違いがある

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トラキ人の陸稲畑(焼畑)

 

 

「中山間」サブプロジェクト

 

特産品開発グループ

 

リーダー:浜田和俊
グループメンバー:西村安代、山本由徳、村井正之、河野俊夫
 中山間地域に暮らす人々の生計を維持に役立つように特産品の栽培、開発およびその流通について調査・研究する。具体的には、ブルーベリーの栽培・加工品開発、薬草の栽培技術開発、有機米の省力栽培、米粉用の多収量品種の開発、焼畑での有機野菜栽培と加工品開発、どぶろく開発などを手掛けている。

 

自然共生・利用グループ

 
リーダー:佐藤周之
グループメンバー:笹原克夫、市栄智明
 中山間地域の豊かな自然の活用によって低コストな暮らしを実現し、自然とうまく共生した継続的な暮らしを目指すための調査・研究を実施している。具体的には、小水力発電の導入可能性の検討、災害防止など森林機能の評価、近年著しい獣害の対策について検討している。

 

東南アジアグループ

 
リーダー:市栄智明
グループメンバー:山本由徳、市川昌広
 農山村の過疎高齢化は、日本ばかりでなく、東南アジアにおいても兆しがみられる。東南アジアの中でも経済的に先行し、過疎高齢化の兆しがみられるマレーシア・サラワク州を研究対象として、農林漁業との関係、暮らしとの関係について調査する。高知との比較をおこない、双方の地域の問題の解決を模索する。

 

経営・機能・文化グループ

 
リーダー:松本美香
グループメンバー:市川昌広
 中山間地域の集落の経営、機能、文化、社会のあり方について調査・研究し、上の各グループと連携することによって、中山間地域問題の解決に向けた実践の核になる。高知県嶺北地域の集落において、集落営農に関する調査、集落機能の現状評価、集落の人びとの意識調査などをおこなっている。

 

中山間地域農業再生支援グループ

 
リーダー 河野俊夫 教授
グループメンバー:市川昌広 教授、池島 耕 准教授、松本美香 准教授
  地域を支える中核大学として、疲弊した地域農業をサポートすることは、これからの高知大学農学部の役割強化につながるものと考えられる。大学も単に学術上の研究を行うだけでなく、現場に多く散在する、実用問題からの研究課題の掘り起しをすることで、研究力アップにつながるものと考える。そこで本サブプロジェクトでは農業の再生を支援するチームを編成して、高知県内に多数ある中山間地域の課題を解決することを目的とする。

 

「中山間」サブプロジェクト報告書

2015年「中山間」サブプロジェクト報告書(2MB)

2014年「中山間」サブプロジェクト報告書(1MB)

2013年「中山間」サブプロジェクト報告書(3MB)

2012年「中山間」サブプロジェクト報告書(1MB)

2011年「中山間」サブプロジェクト報告書(1MB)

2010年「中山間」サブプロジェクト報告書(4MB)

 

AED設置場所